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Whyを書く

ティモシー・スナイダー『ブラックアース』、池田年穂、慶應義塾大学出版会


 上下巻。
 公文書館をはじめとする様々なところからかき集められた記録や証言に基づいて、分析し事細かに書かれている本。
 
 有用そうな点をざっくりと書き出すとだいたい次のような感じ。

・アウシュビッツはホロコーストの象徴のような扱いをされているが、殺害された者の大半は戦争末期の強制収容所で殺されたのではない。

・国家、主権、組織などが破壊された地域でホロコーストは起こる。・市民権の喪失、剥奪。(守る主体、守られる理由が消えているという条件)

・「二重の占領」(ドイツ→ソ連、場合によっては、ソ連→ドイツ→ソ連) (これによって、主権は壊滅させられる。また、住民は、一つ目の占領に服していたことを雪ぐために、二つ目の占領に従順になる)

・(奇妙な)論理展開を学ぶ(どういう理屈で、反ユダヤ主義・民族主義・宗教などのイデオロギー等を利用したのか)



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たぶん、我々は将来の災厄の何かに遭遇したら救助者になることを想定していよう。けれど、国家が破壊され、地元の組織が崩壊し、経済的な誘因(インセンティヴ)が殺害へと向かわせるときに、我々のなかで立派に振る舞える者はほとんどいまい。我々が一九三〇年代、一九四〇年代のヨーロッパ人にくらべて東独的に優れているとか、ついでにいえば、ヒトラーがあれほどうまうまと普及させ実現させた考えに対し付けいれられる隙が少ない、などと考える理由はまずなかろう。仮に我々が真摯に救助者を見習おうと考えるなら、我々は予め、我々がそうできる可能性を寄り高める政治的な構造を築いておかねばならない――よって、こうした広い意味での救助は、伝統的な政治に挑戦して先例のない犯罪への未知を拓いた思考法を、しっかりと把握することを必要とするのだ。
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